富士山センター 設計見直しへ

 静岡県は県議会九月定例会に提出する一般会計補正予算案で、富士山世界遺産センター(仮称)の本年度分の建設工事費十四億七千四百万円を減額する最終調整を始めた。センターの建設工事請負契約の入札が不調となり、設計を見直すため。しかし県議会最大会派の自民改革会議からは十七日、設計の白紙化を求める意見も示され、予算案の調整は難航する恐れもある。

 県はセンターを富士山の情報発信・学習拠点として富士宮市に整備し、二〇一六年度中の開館を目指していた。設計見直しにより開館が遅れるのが確実となった。

 センターは、全面ガラス張りの建物内に、らせん格子形状の「逆さ富士」を表現した構造物を設置する計画。六月の入札では複数業者の入札額が当初見込んだ工事費総額二十七億八千七百万円を大幅に上回り、不調となった。

 県は計画の根幹を維持した上で設計を微調整し、当初見込んだ工事費に近づける方針を十七日、自民に説明した。しかし、自民からは積算根拠が不透明などとの異論が相次いだ。

 補正予算案は市町の地震津波対策支援に三億四千六百万円、移住者就職支援に三千五百万円、ラグビー・ワールドカップ開催都市分担金に一億円、富士山噴火情報提供システム開発費に五千百万円程度など計十九億円を増額。一方でセンターの建設工事費を減額するため、実質的な補正額は四億円規模となる。