新堺市民会館建設計画見直しへ 予定価格24億円超過、入札不調

 堺市が総額約140億円をかけて進める新市民会館計画が大幅な見直しを迫られていることが3日、わかった。新市民会館の本体建設工事の入札が、予定価格の約74億8千万円を約24億円超過して不調(落札者なし)となったことが理由。東京五輪特需や円安による建築単価の上昇を見誤ったとみられる。

 新市民会館は、市民会館跡地(堺区)に建て替えを計画。市はクラシックやオペラの公演が可能な2千席の大ホールを備えた「南大阪を代表する芸術文化拠点に」と意気込んできた。だが、市の土地などの活用状況を調べた平成25年度の包括外部監査人が「見積もりと実際の費用は相当乖離(かいり)するリスクがある」と指摘。

 市議会でも昨年から今年にかけて「東京五輪や円安で建設業界の人件費や資材費の高騰が予想される」と計画を不安視する声が出ていた。
 市によると、7月27日に行われた「(仮称)堺市民芸術文化ホール建設工事」の入札は、1つの共同企業体が約98億8千万円で応札。入札前に公表した市の予定価格約74億8千万円に対し約24億円も上回る結果となった。参加予定だった他の2つの共同企業体は辞退した。

 これに伴って舞台や照明、音響、電気、給排水など残りの約65億円相当の設備関係の入札もすべて中止された。
 市は「同規模施設を参考に予算を組んだ。これほど工事費が跳ね上がる計画ではないはずだが」(文化課)と困惑している。
 計画を進めるには規模を縮小するか予算を積み増すしかなく、いずれにしても図面の変更は必要。関係部署で対応方針を検討しており、8月下旬から始まる市議会への契約議案の提案は見送ることになる。
 新市民会館は総工費約140億円。地上6階・地下1階建て延べ約2万平方メートル。南大阪では最大級2千席の大ホールのほか、300席の小ホール、大小スタジオなどを設ける。
 市は今年秋ごろに着工、平成29年12月に建物を完成させ、準備期間を置いて30年秋のオープンを目指している。

 

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