最低制限価格、市町村引き上げの動き

 浦添市宮古島市は1日から、市発注公共工事の入札に関する最低制限価格の設定を見直し、上限を従来の90%から92~95%にそれぞれ引き上げた。人件費や資材費の高騰を要因に、適正な利益が出ないとして公共工事の入札参加を回避する業者の動きなどを受け、最低制限価格の引き上げで利益率の改善を図る。昨年は中城村沖縄市が上限を95%に引き上げるなど市町村で最低制限価格の見直しが広がりを見せる中、県も本年度上期のうちに結論を出す方向で新たな制限価格設定について検討に入った。
 浦添市宮古島市はこれまで、入札額がこれを下回ると失格となる最低制限価格の範囲を予定価格の70~90%の間で設定していた。1日以降に指名通知を行う入札について、宮古島市は建築・電気・管工事で上限を95%に、土木工事などで上限を93%に見直した。浦添市は予定価格が130万円を超える建設工事を対象に、最低制限価格を一律に上限を92%に引き上げた。両市とも下限の70%は据え置いている。
 浦添市契約検査課は「最低制限価格を算出する計算式はそのままに、上限枠を計算値により近いところへ広げた。しかし、実際の損益分岐点をはじき出すのは難しさがあり、県の動向を見てさらに見直しの検討をしたい」と話す。
 県発注工事の最低制限価格は70~90%の範囲で設定されているが、県土木建築部は2012、13年度に受注業者を対象として、落札率と発注工事の採算性の関係について現状を調査した。県建設業審議会に近く諮問し、最低制限価格の引き上げの是非を含めて検討する。審議会では調査結果を踏まえながら、下半期の発注に間に合うように結論を出す予定だ。県の担当者は見直し議論の背景について「建設需要が拡大する中で人手不足や資材高騰で工事費が増大し、厳しい経営環境に置かれているとの声が聞かれる」と話した。
 県建設業協会の源河忠雄事務局長は「もともと予定価格の90%の設定で競争しても適正な利益が出にくいところに、資材や人件費の高騰が重なっている。適正な利益を確保することは、人手不足の業界の処遇改善につながり、好循環を生み出す」と行政側の見直しの動きを歓迎している。

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