名鉄:リニア見据え…名古屋駅前スーパーターミナル構想

 名鉄が23日発表した名古屋駅前の再開発基本計画は、約500メートルの区間に複数の高層ビルを建設する大規模なもので、着々と再開発が進む名駅地区を「スーパーターミナル」という完成形に近づけそうだ。2027年のリニア中央新幹線の開業を見据え、東京や大阪との都市間競争の激化が想定される中、名駅地区の再開発で誕生した各ビルが連携して魅力あるまちづくりを進めることが、競争を勝ち抜くカギとなる。

 名駅周辺では15年10月に大名古屋ビルヂング、同11月にJPタワー名古屋が相次いで完成する。さらに16年に新・第2豊田ビル、17年にはJRゲートタワーやささしまライブ24地区のグローバルゲートの完成が予定される。地下街でも改修工事が進む。

 名古屋市が昨年9月に策定した名駅を中心としたまちづくり構想は、鉄道各社の乗り換えを便利にする空間「ターミナルスクエア」の新設、高層ビルや地下街の案内表示の統一などを求めている。乗り換えの利便性を向上し、最新のオフィスや商業施設を集積することで、地域を活性化させようとしている。

 名駅前の再開発について、中京大経済研究所の内田俊宏研究員は「各社がそれぞれ進める再開発の高層ビル同士をどのように連携させ、魅力的な街として一体感を保っていくかが問われる」と話す。

 JR、名鉄近鉄の各駅に直結するビルを持つ名鉄が大規模な計画を発表したことは、駅周辺の再開発に大きなインパクトを与えそうだ。ただ、建設する高層ビルの数や高さなど具体的な計画はこれからで、名古屋市が構想する名古屋高速道路の乗り入れが実現するかなど、未確定な部分も多い。

 名鉄の山本亜土社長は23日の記者会見で「(リニア開業までの)時間との闘いという大きな課題がある」と話した。内田研究員は「各事業者が詳細な協議を行い、公共性の高いターミナルスクエアなどの具体的な計画をしっかり固めたうえで、スムーズに建設工事に移れるかが再開発成功のカギになる」と指摘している。

名鉄:リニア見据え…名古屋駅前スーパーターミナル構想 - 毎日新聞