日立市新庁舎起工式「復興の締めの事業」 17年8月供用開始

 東日本大震災被災した日立市役所庁舎を建て替える新庁舎の起工式が二十五日、建設地となる現庁舎隣の駐車場(同市助川町)で行われ、市職員や施工業者ら約七十人が神事などをして工事の安全を祈った。建設工事は来月上旬に着工予定で、二〇一七年四月に完成、同年八月からの供用開始を目指す。
 現在の庁舎は五つの建物に分かれ、いずれも築四十五年以上と老朽化が進んでいる。耐震診断では震度6強以上の地震で倒壊の危険性があるとされ、東日本大震災では外壁に亀裂が入るなどの損傷を受けた。市は来庁者が多い部署を近くに建てたプレハブ仮庁舎に移して業務を続けてきたが、災害対応の拠点となる安全な市庁舎が必要だとして、建て替えに踏み切った。
 市出身の世界的建築家・妹島和世さんの建築事務所「SANAA」(東京)が基本設計を手掛けた新庁舎は免震構造で鉄骨造りの地上七階、地下一階建てで、延べ床面積は二万五千平方メートル。総事業費は約百三十億円となった。建物の規模や事業費をめぐっては一部市民から「豪華すぎて高額すぎる」との指摘が出て、計画凍結を求める署名運動が起きた。
 一方、昨年八月に行われた建設工事の入札は資材価格や人件費の高騰などで不調に終わった。市は建設規模を縮小した上で入札後に共同企業体を結成する方式を県内で初めて採用し、二月に再度入札を実施。その結果、大手ゼネコンの竹中工務店が落札した。
 神事で鍬(くわ)入れを行った吉成明市長は「市庁舎建て替えは震災復興の締めになる事業。事故がないように工事が行われ、素晴らしい建物ができる日を楽しみにしている」と話した。

東京新聞:日立市新庁舎起工式「復興の締めの事業」 17年8月供用開始:茨城(TOKYO Web)