建設現場を安全快適に 人手不足解消へ一手

 建設現場の快適さを高める改善が進んでいる。建設や繊維関連の企業が作業員の身長に合った足場や体調管理に役立つ作業着を開発し、提供を始めた。安全性の向上や負担軽減につなげ、深刻な人手不足の解消への一手としたい考えだ。

 大阪市に本社を置くエスアールジータカミヤは170センチが業界の常識だった天井の高さを190センチに改良した「次世代足場」のレンタルや販売を本格的に開始した。

 同社によると、日本人男性の平均身長は50年ほど前と比べて10センチ以上伸びたが、一般的な足場の天井高はほとんど変わっていない。現場では安全靴を履き、ヘルメットをかぶるため身長がかさ上げされ、作業員が腰をかがめる姿勢が常態化している。

 東レは、生体情報を取得できる繊維「hitoe(ヒトエ)」を使い、作業員の体調管理ができるサービスを8月に始めた。作業員がヒトエを使ったウエアを着ると、心拍数を含めたデータがスマートフォンなどに送られてくる。

 清水建設熱中症対策の一環で導入した、軽量で通気性を高めた新型ヘルメットと、小型電動ファンを内蔵させた「空調服
 清水建設熱中症対策の一環として、軽量で通気性を高めた新型ヘルメットや、ジャンパーの中に電池で動く小型電動ファンを内蔵させた「空調服」を今夏導入した。

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ドローン測量、建設現場に

 政府は12日、新しい成長戦略の策定に向け閣僚や民間有識者が集まる「未来投資会議」の初会合を首相官邸で開いた。小型無人機「ドローン」を使った測量などを建設現場に普及させ、2025年までに生産性を20%向上させる。少子高齢化による人手不足に対応する。新成長戦略は17年1月をめどに課題を整理し、17年半ばに取りまとめる。

 安倍晋三首相は「ちゅうちょなく改革を断行する」と強調。建設の生産性向上について「(危険、汚い、きついの)3Kのイメージを拭い去る。全国の建設現場は劇的に変わる」と述べた。

 規制改革会議を引き継ぐ「規制改革推進会議」も初会合を開催した。首相は農業の資材価格の引き下げや流通改革を進めるため、全国農業協同組合連合会(JA全農)の在り方を予断なく見直すと表明。生乳流通の大半を国の指定団体が握る制度の抜本改革は今秋に結論を出すと強調した。

 建設現場の生産性向上に向け、ドローンでの測量や人工知能(AI)といった情報通信技術(ICT)を取り入れる。地形を把握する作業を減らし、工期の大幅な短縮を目指す。AIは熟練作業員の経験を学習し、未熟な人が建機を使う場合でも最適な操作ができるように補助し、作業しやすくする。

 橋やトンネル、ダムといった公共事業でドローンなどICTの活用を広げる。地方自治体の公共事業や、中小建設会社の活用を後押しするため、税制や金融の支援をする。

 成長戦略は、金融緩和、財政出動と並ぶアベノミクスの「三本の矢」の一つ。未来投資会議が成長戦略策定の新たな司令塔となる。

建設現場の生産性2割増=政府目標、ICT活用-未来投資会議が初会合

 政府は12日、成長戦略の新たな司令塔となる「未来投資会議」の初会合を開き、人手不足に悩む建設現場の生産性を2025年までに2割向上させる目標を設定した。同会議は、人工知能(AI)や情報通信技術(ICT)などを駆使する「第4次産業革命」の推進を柱とする成長戦略を、17年半ばに取りまとめる。
 産業競争力会議など乱立していた成長戦略関連の会議を再編する形で創設。議長は安倍晋三首相が務め、石原伸晃経済再生相ら関係閣僚、榊原定征経団連会長ら民間議員で構成する。
 安倍首相は初会合で「構造改革を総ざらいし、必要な検討に直ちに着手してほしい」と関係閣僚に指示した。
 第1弾として取り上げたのは、建設業の生産性向上だ。建設現場では10年後に約130万人の労働者が不足すると見込まれる。
 政府はICT普及を促し、省力化や工期短縮を後押しする。具体的には、小型無人機(ドローン)を活用した3次元測量などの導入が進むよう、国の公共工事の発注条件を見直す。このほか、道路や橋などの3次元データを国主導でビッグデータとして収集し、民間に開放。そのための利活用ルールなどを話し合う官民の協議体も立ち上げる。

足場組まずにビルメンテ

 ビルやマンションの定期メンテナンスは、大掛かりな仮設足場を組んで行う工事が一般的。近年、東京都や千葉県で「無足場工法」がリーズナブルな工法として注目を集めているという。

 この工法は、ビルのガラス清掃を行う要領でロープブランコを使って行うもの。市内下荻野にある(株)セキトウェーブ(関原敏文代表)は県内でも数少ない、この「無足場工法」を行うことのできる地元企業だ。

 同社では、無足場工法を使い、4面あるビルの外壁を1年に1面ずつメンテナンスする「4年計画」を提案している。メリットは年度内経費を節減できる以外にも、工期を短くできるため入居者の負担が少ないなどもあるという。

雨漏り診断から室内工事まで

 同社は創業以来、防水塗装工事を生業とし、「赤外線サーモグラフィーカメラ」による雨漏り診断と改善工事に力を入れてきた。ビル等のキッチン・お風呂等の水回り工事にも定評があり、「確かな工事をリーズナブルに行いたいのであれば、実績ある地元企業が安心です」と関原代表。

 一般家庭の雨漏り修繕、 外壁塗装も請け負う同社。お問合せはお気軽に。

足場組まずにビルメンテ | 厚木 | タウンニュース

 

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外壁の点検や塗装のなどの改修に欠かせないのが足場。建物を多数所有するオーナーの中にはコスト削減を図るため、足場を所有し自社物件の管理及びメンテナンスにやくだてています。こうしたはじめて足場を購入するユーザーにもしっかりとしたサポート及び商品説明で人気なのがネット通販の足場販売.com

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安藤ハザマ/ICT使用の斜面計測監視システム開発/広範囲の変位を3Dで常時把握

 安藤ハザマは24日、ICT(情報通信技術)を駆使した施工現場の斜面計測監視システムを開発したと発表した。CIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)や無人航空機(UAV)を活用。広範囲の変位状況を3次元(3D)表示でリアルタイムに把握できるのが特徴で、斜面安定性評価の高度化と省力化につながる。トンネル建設や明かり部の造成工事で運用を開始した。
 開発した「斜面計測監視3D-ICTシステム」は、地質状況や施工実績をCIM上で一元管理する独自の「地質情報CIM管理システム」を活用。計測データをリアルタイムに3D表示することで、斜面の変位状況を瞬時に評価できる。
 斜面のある工事現場と遠隔地の本・支店技術部門をつなぎ、計測状況を情報共有できる体制を構築することで、専門技術者が現場に行くことなく、迅速に斜面の評価を行えるようになる。
 同システムに、国土防災技術(東京都港区、辻裕社長)が保有する「UAVを活用した3次元斜面動態観測技術」も融合。これにより、変状直後の斜面のように計器の設置が困難な場所や計測範囲が広く設置する計器の数が膨大となる場所で経時的な変位状況を的確に把握できるという。
 地盤が不安定な場所での明かり掘削や土かぶりの小さなトンネル掘削工事では、斜面の変状・崩落やトンネル上部地表面の沈下など不具合の発生が懸念される。このため斜面計測を実施し、施工の進ちょくや地震、豪雨など自然現象に伴う変状の有無を確認することで対策を講じる。
 斜面計測の実施に当たっては、衛星利用測位システム(GPS)や伸縮計の自動計測などによる地表面変位計測とボーリング穴などを利用した地中変位計測をバランスよく行う。斜面全体の変位を俯瞰(ふかん)して評価する必要があるが、変位を表示する図面類は2次元断面のため、広範囲に及ぶ変位方向を3Dでリアルタイムに評価・把握できる方法が求められている。

日刊建設工業新聞 » 安藤ハザマ/ICT使用の斜面計測監視システム開発/広範囲の変位を3Dで常時把握

ゼネコン大手5社の開発費、今年度3.7%増−ICT・省エネ重点

ゼネコン大手5社合計の研究開発費が、省エネルギー対策や現場の生産性向上につながるICT(情報通信技術)活用技術向けを中心に増加傾向にある。2016年度の5社合計の研究開発費は、前年度比3・7%増の444億円程度になる見込みだ。経済産業省が掲げる公共建築物の大幅な省エネ化や、慢性的な人手不足の解消などに向けて、研究開発を加速する。

好調な業績を背景に、16年度は竹中工務店清水建設大林組が前年度を上回る研究開発費を投じる計画。大成建設と鹿島は前年度並みを予定する。

各社とも省エネ化などに寄与する環境・エネルギー分野や地震対策を強化。ICTなど現場の生産性向上につながる分野の技術開発も加速する。

ゼネコン大手5社の開発費、今年度3.7%増−ICT・省エネ重点 | 建設・住宅・生活 ニュース | 日刊工業新聞 電子版

大成建設/煙突解体の新工法開発/移動昇降足場で安全性向上、足場組み立て工期も短縮

 大成建設は、安全性と作業性の向上を実現する煙突解体工法「テコレップ・システム」を開発した。煙突壁面部を取り囲むように移動昇降式の足場を設置して作業するため、従来の枠組み足場での作業に比べ、作業員や資機材の墜落・落下や高所作業のリスクを低減する。解体作業時に、はつり殻の落下を防ぐ独自養生方法も採用し、作業の安全性を大幅に向上させた。
 従来の煙突解体作業では、煙突周囲全体を取り囲むように枠組み足場を構築してシートで覆い、解体作業の進ちょくに合わせて上部から徐々に足場などを解体する方法が取られている。
 ただ、この方法では足場材の現地搬入・搬出量が多く、足場の重量に対する煙突周囲地表部の支持力確保が必要になるなど、足場の組み立て・解体に多くの時間と労力を要する。作業で使用する資機材は人力で運搬するため、資機材の落下や作業員の墜落の危険性もある。強風時には、シートが風を受けて足場の崩壊につながる危険性があるためシートの取り外しが必要で、作業員の避難にも時間がかかり、工程の遅れにつながることもある。
 開発した工法は、昇降式足場から仮設桁を張り出し、鋼製足場板を覆工して作業床を作る。作業員や資機材が足場を上下に移動する必要がなく、高所作業や墜落・落下のリスクを低減できる。
 足場の昇降は煙突側面を挟むように設置する2本の支柱で行う。地表部に大きな支持力を必要とせず、組み立て・解体も容易。高さ約80メートル、下部直径約7メートルの煙突でつり上げ荷重が25トンクラスのクレーンを使用した場合、従来は足場の組み立てに1カ月半を要していたが、テコレップ・スタックでは10日程度で完了し、工期短縮の効果も大きい。
 解体作業に当たっては、はつり殻の落下を防ぐため、特許出願中の独自養生方法を採用する。可とう性のあるエフレックス管で煙突周囲を囲み、管内を通したラッシングベルトで煙突に固定。その上をシートで覆うことで、作業床の隙間を埋める。
 このほど解体を完了した昭和電工横浜事業所煙突解体工事に初適用し、高い安全性と大幅な工期短縮効果を確認した。今後は煙突解体工事のほか、煙突や橋脚、タンクなどの外周点検や維持補修工事での採用も提案していく方針だ。

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