大成建設、部屋単位で落雷被害防ぐ建築内装技術「雷電磁界バリア」を実用化

 大成建設は落雷の被害を部屋単位で防ぐ建築内装技術「雷電磁界バリア」を実用化した。内装下地の軽量鉄骨(溝形鋼)や床版(スラブ)内の鉄筋を通常よりも緊密かつ格子状に組んで部屋全体を覆うようにして落雷電流を分散し、発生した電磁波同士を打ち消す効果も発揮させる。富士重工業の子会社、スバル興産(東京都渋谷区)から建設工事を受注した「エビススバルビル」(富士重本社)の携帯基地局設備室(約20平方メートル)に初適用し、実証試験で有効性を確認した。

 大成建はサンコーシヤ(東京都品川区)と共同で、落雷による電子機器の被害低減を目的としたシミュレーションシステム「建物内雷電磁環境シミュレーションシステム」を開発済み。同システムで落雷時に生じる雷電流の分流や屋内電磁界、電磁誘導などを解析し、電子機器に悪影響を与える電磁波を予測して対策を講じた。
 エビススバルビルの携帯基地局設備室では軽量鉄骨などを30センチメートル程度の間隔で格子状に配置(写真)し、それぞれが電気的に等電位になるように接続。建物完成時、実験装置により模擬電流を流してバリアー効果を検証し、落雷を受けて建物内に生じる電磁界を、同室内では80―90%低減できる結果が得られた。
 「建物全体ではなく、部屋単位の落雷被害対策は国内初の実用化」(入江俊介大成建設設計本部設備設計第一部研究員)という。

大成建設、部屋単位で落雷被害防ぐ建築内装技術「雷電磁界バリア」を実用化:日刊工業新聞