安藤ハザマ/ICT使用の斜面計測監視システム開発/広範囲の変位を3Dで常時把握

 安藤ハザマは24日、ICT(情報通信技術)を駆使した施工現場の斜面計測監視システムを開発したと発表した。CIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)や無人航空機(UAV)を活用。広範囲の変位状況を3次元(3D)表示でリアルタイムに把握できるのが特徴で、斜面安定性評価の高度化と省力化につながる。トンネル建設や明かり部の造成工事で運用を開始した。
 開発した「斜面計測監視3D-ICTシステム」は、地質状況や施工実績をCIM上で一元管理する独自の「地質情報CIM管理システム」を活用。計測データをリアルタイムに3D表示することで、斜面の変位状況を瞬時に評価できる。
 斜面のある工事現場と遠隔地の本・支店技術部門をつなぎ、計測状況を情報共有できる体制を構築することで、専門技術者が現場に行くことなく、迅速に斜面の評価を行えるようになる。
 同システムに、国土防災技術(東京都港区、辻裕社長)が保有する「UAVを活用した3次元斜面動態観測技術」も融合。これにより、変状直後の斜面のように計器の設置が困難な場所や計測範囲が広く設置する計器の数が膨大となる場所で経時的な変位状況を的確に把握できるという。
 地盤が不安定な場所での明かり掘削や土かぶりの小さなトンネル掘削工事では、斜面の変状・崩落やトンネル上部地表面の沈下など不具合の発生が懸念される。このため斜面計測を実施し、施工の進ちょくや地震、豪雨など自然現象に伴う変状の有無を確認することで対策を講じる。
 斜面計測の実施に当たっては、衛星利用測位システム(GPS)や伸縮計の自動計測などによる地表面変位計測とボーリング穴などを利用した地中変位計測をバランスよく行う。斜面全体の変位を俯瞰(ふかん)して評価する必要があるが、変位を表示する図面類は2次元断面のため、広範囲に及ぶ変位方向を3Dでリアルタイムに評価・把握できる方法が求められている。

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