液状化対策へ実証実験 間伐材丸太を打設 温暖化抑制にも効果

 飛島建設(株)、兼松日産農林(株)、昭和マテリアル(株)の3社は、浦安市舞浜の浦安市運動公園内で1日、「丸太打設液状化対策&カーボンストック工法」の実証実験を公開した。当日は、行政関係者や学識経験者、建設業界関係者や報道陣など約300人が参加。資源の乏しい日本の中、豊富な森林資源を有効活用する同工法は、液状化対策とともに温暖化防止効果も期待でき、参加者から高い関心を示された。
 今回の実証実験は、浦安市市街地開発課が今年1月に民間事業者を対象として公募した「浦安市が管理する施設を利用した液状化対策工法の実証実験」によるもの。3月には飛島建設を筆頭に、8社・1グループが選定されている。
 飛島建設兼松日産農林、昭和マテリアルの3社が実施した「丸太打設液状化対策&カーボンストック工法」は、間伐材(丸太)を地盤に打設することで液状化対策と温室効果ガス削減を同時に実現できる。また、低振動・低騒音のため、市街地でも施工可能なのが特長だ。
 実験は、東日本大震災液状化現象による大きな被害を受けた浦安市の運動公園で実施。公園の一部を「A、C、E、Ba、Bb、Ca、Cb」と、1辺5m四方のブロックに区分。その中に丸太を100本、64本、36本と本数を変えながら打ち込み、効果を検証する。
 丸太は、長さ約4m(末口径約140mm、元口径約180mm)を2本打設。使用する丸太は、利用が進まない地域の間伐材や震災の廃木丸太や東北地方産材を利用することで、コスト低減や復興支援に寄与している。

 同工法では、丸太を砂地盤に打設することで体積が増し、緩い砂地盤から密な砂地盤へ改良することができる。また、杭打ち機も通常より1~2割程度コンパクトな重機を使用するため、中小規模・狭隘地などの施工も可能になり、戸建住宅や事務所などにも対応可能になる。
 そのほか丸太打設は、鋼杭やコンクリート杭に比べて振動や騒音が低いため、公園や学校などの市街地でも施工が可能なのも特長。また、木材を利用することで二酸化炭素を地中に貯蔵(カーボンストック)できるほか、セメントや鉄を製造するときに発生するCO2排出量も削減できる。
 3社が実際に、液状化地盤において実験するのは今回が初めて。これまで、▽液状化対策▽CO2貯蔵量▽地中利用による長期間活用(丸太腐朽耐久性)──を調査・検証し、その効果を実験してきた。
 液状化対策効果の検証では、小型・中型模型地盤を用いて、密度の寄り具合を調査。検証には、遠心載荷模型(W2.5m×D1.0m×H1.0m)による中型模型基盤実験など多数の振動実験を実施し、入力波形の振幅を記録した。

日刊建設新聞 2015/09/03